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2021年秋刊行の令和4年度版(2022年度版)六法に反映されそうな重要法改正【秋は六法の季節】

2021年秋刊行の令和4年度版(2022年度版)六法に反映されそうな重要法改正【秋は六法の季節】書籍・六法

夏真っ盛りですが,9月に入ると順次学習用の六法が刊行されます。

法学部生にとって,秋は新しい六法の季節です。

まず9月に学習用の定番である小型六法(代表的なものとしてポケット六法〔有斐閣〕・デイリー六法〔三省堂〕)が刊行され,その後,10月・11月に判例付き六法(代表的なものとして有斐閣判例六法有斐閣判例六法Professional模範六法〔三省堂〕・判例付き法務六法〔三省堂〕)が刊行されます。

ちなみに,弁護士や検事を取り上げたテレビドラマなどで映り込むデカい六法(普通の人が六法全書と聞いて思い浮かべるもの)は,春の刊行です(3月刊行)。しかも,この規模の六法は1社しか刊行していません。有斐閣刊行のものだけです。

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秋刊行の六法に反映される法改正

刊行される月が若干ズレますが,小型六法と判例付き六法の法律の中身,つまりどの時点の法改正までを反映しているか,という点は同じです。

基本的には,秋に刊行される六法には,前年の臨時国会(秋~冬)と刊行年の通常国会(年初~6月頃)で成立した法律,法改正が反映されています。

令和4年版(2022年版)に反映されそうな重要な法改正

秋刊行の六法(小型六法〔ポケット六法やデイリー六法など〕,判例付き六法〔有斐閣判例六法や模範六法など〕)に反映されそうな重要な法改正はどのようなものがあるのでしょうか?

本格的に六法が刊行される前の予習として,令和2年(2020年)臨時国会(203回国会),令和3年(2021年)通常国会(204回国会)で成立した新法や法改正で(法学部や資格試験などの)学習にとって重要なものをみていきましょう。

令和2年(2020年)臨時国会

生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律(令和2年法律第76号)

この法律は新法です。法律の構成(章立て)は下記の通りです。

生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律

目次
 第1章 総則(第1条・第2条)
 第2章 生殖補助医療の提供等(第3条-第8条)
 第3章 生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例(第9条・第10条)
 附 則

法学部などで重要になるのは,第3章が重要です(第1章,第2章が問題になることはあまりない〔ほとんどない〕と思います)

第3章は9条と10条の2か条のみです。

9条は,いわゆる代理懐胎・代理出産の場合には実際に出産した女性が子の母とすると定めています。
10条は,夫の同意を得て,夫以外の第三者の精子提供により懐胎した子については,夫は民法第774条の規定にかかわらず嫡出否認をすることができないと定めています。

生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律(令和2年法律第76号)

  第3章 生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例
 (他人の卵子を用いた生殖補助医療により出生した子の母)
第9条
 女性が自己以外の女性の卵子(その卵子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により子を懐胎し,出産したときは,その出産をした女性をその子の母とする。
 (他人の精子を用いる生殖補助医療に同意をした夫による嫡出の否認の禁止)
第10条
 妻が,夫の同意を得て,夫以外の男性の精子(その精子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により懐胎した子については,夫は,民法第七百七十四条の規定にかかわらず,その子が嫡出であることを否認することができない。

民法(明治29年法律第89号)

 (嫡出の否認)
第774条
 第772条の場合において,夫は,子が嫡出であることを否認することができる。

 (嫡出の推定)
第772条
 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

種苗法改正

一部報道でも話題になりましたが,種苗法の改正がありました。

「種苗法の一部を改正する法律」(令和2年第74号)です。ただし,法学部の学習という観点でいえば,それほど重要ではないです。そもそも小型六法や判例付き六法に種苗法が収録されていないことが多いと思います。

令和3年(2021年)通常国会(204回国会)

日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第76号)

憲法改正関連なので,報道では大きく取り上げられましたが,今回の改正内容は投票機会の確保の観点から,投票や投票会場の設置について柔軟な対応を認めるものです。

産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和3年法律第70号)

一定の企業については,いわゆるバーチャルオンリー株主総会の開催を認めるようにした法改正です。会社法を勉強するときには確認しておく必要がありますね。

住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年法律第48号)

法律名が長くてわかりにくいですが,住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の改正が含まれています。

資格試験などで, 住宅の品質確保の促進等に関する法律が試験範囲に含まれている場合には注意しましょう。

デジタル改革関連法

下記の3法のことです。

  • デジタル社会形成基本法(令和3年法律第35号)
  • デジタル庁設置法(令和3年法律第36号)
  • デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号)

とくに最後のデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律には多くの法律の改正が含まれています。民法も改正されています。

詳しくは下記記事を参照してください。

少年法等の一部を改正する法律(令和3年法律第47号)

民法の成年年齢が引き下げられる(20歳→18歳)ことに伴う少年法の見直しです。

特定少年実名報道の可否についての改正がありました。詳しくは下記記事を参照してください。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律

いわゆる「男性の産休」と言われているような育児休業制度の改正がありました。

所有者不明土地関連法

主に下記の2法のことです。

  • 民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)
  • 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)

民法の物権関係相続関係が大きく改正になっています。法学部生や司法試験受験生含め資格試験受験生にとっては超重要な改正ですね。

知的財産法関連の改正

特許法等の一部を改正する法律(令和3年法律第42号)

特許法実用新案法意匠法商標法工業所有権に関する手続等の特例に関する法律特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律弁理士法の改正が含まれます。

模倣品の国内持ち込み手続のオンライン化等についての改正です。

著作権法の一部を改正する法律(令和3年法律第52号)

図書館の複写(コピー)のメール送信を認める改正(権利制限規定の改正)や放送のネット同時配信に関する改正などです。

消費者法関連の新法・改正

  • 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和3年法律第32号)
  • 消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年法律第72号)

後者の法改正によって,特定商取引法が改正されています。

その他――政省令の改正

法律の改正は国会での審議が必要ですが,政令・省令などは国会の審議は不要です。

前年の六法刊行後に重要な政令・省令の改正がありました。

「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(令和2年法務省令第52号)

会社法施行規則会社計算規則が改正されています。

これは令和元年(2020年)会社法改正に伴う改正です。この省令改正によって,ようやく令和元年会社法改正の内容が確定したことになります(会社法には,「法務省令の定める」という規定がたくさんあるので,法律だけではすべての内容が分からないことが多いです)。

令和4年版(2022年版)の六法に買い替えた方がよいのか?

上記で紹介したような法改正が2021年秋に刊行される六法に反映されると思います。

気になるのは,今年は買い替えた方がよいのか?というところではないでしょうか。

私の意見としては,買い替え必須だと思っています。

民法が複数回改正になっていることや民法の特例法があらたに成立していることや会社法の法務省令(会社法施行規則・会社計算規則)の大きな改正があったこと,少年法も大きな改正があったことなどを鑑みれば,買い替えるべきだと思います(もちろん他の改正も重要なものが多いです)

とくに民法は他の法律の学習でも関連することが多いので,古い条文で勉強することはおすすめできません。