六法の種類

教科書・六法
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六法という言葉は,多義的で,基本となる6つの法(憲法,民法,刑法,商法〔会社法含む〕,民事訴訟法,刑事訴訟法)を指す場合と,法令集を指す場合とがあります。

これについては,別記事にまとめました。

法学部での日常会話で,単に六法というと法令集のことを指すことが多いです。

今回はこの法令集としての六法を紹介します。

六法には収録法令の数に応じた大小や用途に応じた専門性の高いものなど,いくつかの種類があります。

ごく簡単にですが,紹介していきます。

大型の六法

いわゆる『六法全書』です。
ドラマや映画でも映り込むことも多い,あの超分厚い書籍です。
書籍名はずばり『六法全書』です。
価格も余裕で1万円を超えます。
箱に入っており,2分冊です。
もはや見た目はでかいサイコロです。
毎年春に刊行されます。

圧倒的なページ数です。見た目もすごいです。

いまどきネット通販以外で買う人いるんでしょうか?

この本がはいる袋とかなさそうですよね。

国語辞典には大型のものでも,広辞苑や大辞泉など,いくつかの出版社のものがありますが,現在,大型の六法は『六法全書』だけです。

非常に収録法令数も多く,汎用性も高いですが,高価,重い,でかい,持ち運びは困難,ということで,ほとんどの法学部生には必要ありません。

弁護士事務所や裁判所に備え置くことを想定された商品です。

六法“全”書と名前がついていますが,日本のすべての法令が収録されているわけではありません。
六法全書の令和2年版は収録法令842件ですが,日本は法律だけでも2000以上あり,それに政令や省令などが加わると,1万件近くになるそうです。
すべての法令を掲載したものはあることにはあるのですが,加除式のもので,大きな本棚一面(一段ではなく一面)くらいを余裕で占める分量です。蔵書しているのは図書館や自治体がほとんどで,個人での蔵書はあまり聞いたことはありません。

小型の六法

新学期の教科書販売ブースや大学生協の書店などで,山積みにされていることが多いので,見かけたことも多いと思います。

小型の六法は,いくつかの出版社から刊行されています。

代表的なものは,『ポケット六法』と『デイリー六法』です(リンク先はAmazon)。
この2冊で小型六法のシェアのほどんどを占めていると思われます。

法学部生は,上記2冊のどちらかを購入しておけば,まず間違いないと思います。

ほかにも『法学六法』というものなど,上記2冊以外にもいくつかありますので,書店の本棚で見てみてください。

専門六法

ある特定の分野の法令を重点的に収録した法令集です。
基本的には,その分野のエキスパートや企業向けです。

たとえば,

  • 証券六法
  • 社会福祉六法
  • 税務六法
  • 教育六法
  • 海事六法

などがあります。

変わり種として,

というのもあるようです。

サイズもさまざまで,頁数の多い箱入りのものから,ソフトカバーで薄い本まであり,刊行も年版のものから,数年に一度しか改訂されないものなどもあります。

法学部生には,ふつうは不要です。

就職した後に,必要に応じて購入することになるでしょう。

判例付き六法

これは,上記の3種類とはやや毛色が異なります。
法令集+判例の要約・抜粋という構成です。

「主要な」法令の条文につづけて,その条文が問題となった(争点になった)判例の要約が掲載されています。

あくまで「主要な」法令に判例がついているだけですので,収録法令すべてに判例がついているものではありません。

判例付き六法もいくつかの出版社から刊行されていますが,
代表的なものは下記の4つです。

小型の判例付き六法

  • 有斐閣判例六法
  • 模範小六法 ※残念ながら令和2年版(2020年版)を最後に刊行中止となりました。
    判例付き法務六法 ※模範小六法にかわる三省堂の新六法です。

大型の判例付き六法

  • 有斐閣判例六法Professional
  • 模範六法

小型は学生の学習用,大型は実務家用です(有斐閣のは書名にずばり“Professional”ってついてますね)

うまく使いこなすことができれば,とても便利です。
法学部生が買うとしたら,小型のもののどちらかでOKです。

法学部生に判例付き六法って必要? については,別記事にまとめました。

なお,令和3年度版として,判例付き六法が新創刊されました。それについては下記記事をご覧ください。

番外編――インターネット

「六法」というと,一般的には,紙媒体の法令集を指します。
もっとも,条文だけならネットで閲覧可能です。

電子政府の総合窓口e-Gov」の「法令データ提供システム」で法令を検索でき,条文を読むことができます。

ネットの情報とはいえ,怪しいものではなく,運営主体は“国”
信頼できますね。

ちょっとした調べものなら十分です。

ただ,紙に比べてデメリットもあります。

複数の条文を行ったり来たりしながら読むことは,ネットは不得手だと思います。

実際に法学部の講義でも,「民法415条にはこう書いていますね。……。つぎに不当利得の問題も確認してみましょう。民法703条を見てください」といったことがよくあります。
紙の六法なら数ページめくるだけでいいですが,ネット閲覧だとちょっと面倒かもしれません。

とはいえ,デジタルのメリットもあるので,用途に応じて,紙とデジタルを使い分けるのがよいと思います。

番外編その2――六法形式のテキスト

条文ごとに情報を整理し直した(構成し直した)テキストがあります。いわゆる六法ではないですが,ご参考までに。