東京オリンピックと祝日の移動――根拠法令を確認してみよう

雑記
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2021年(令和3年)7月19日は,7月の第3月曜日なので,例年であれば海の日」で祝日です。
しかし,2021年の7月19日は平日です。これは,2021年夏に東京オリンピック・パラリンピックが開催される関係上,2021年に限りオリンピックの開会式と閉会式にあわせて祝日を移動させたためです(2021年に限りと書きましたが,東京オリンピック・パラリンピックは2020年開催予定だったので,2020年の祝日も移動していました)

この祝日の移動は,「令和3年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」の第32条によるものです。

東京オリンピック・パラリンピック開催よる祝日の移動

上記の通り,「令和3東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」の第32条で祝日が移動しています(例年と祝日の設定日が変更されています)。

では,その「令和3東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」の第32条をみてみましょう。

令和3年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法(平成27年法律第33号)

第32条 令和2年の国民の祝日(国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号。以下この条において「祝日法」という。)第1条に規定する国民の祝日をいう。次項において同じ。)に関する祝日法の規定の適用については,祝日法第2条海の日の項中「7月の第3月曜日」とあるのは「7月23日」と,同条山の日の項中「8月11日」とあるのは「8月10日」と,同条スポーツの日の項中「10月の第2月曜日」とあるのは「7月24日」とする。
2 令和3年の国民の祝日に関する祝日法の規定の適用については,祝日法第2条海の日の項中「7月の第3月曜日」とあるのは「7月22日」と,同条山の日の項中「8月11日」とあるのは「8月8日」と,同条スポーツの日の項中「10月の第2月曜日」とあるのは「7月23日」とする。

2020年(令和2年)の祝日移動については上記32条1項で,2021年(令和3年)の祝日移動については上記33条2項で定めています。

なお,祝日一般については,下記の記事で取り上げていました。

祝日の移動に対応していないカレンダーあるのはなぜ?

持っているカレンダーや手帳の祝日設定(赤い日)が今回の祝日の移動に対応していない場合も多いと思います。4月始まりの手帳であれば正しい祝日設定になっている可能性が高いですが,1月始まりの手帳は祝日が例年通り(祝日の移動に対応していない)になっているでしょうね。

なぜこのようなことが生じてしまったのでしょうか。

これは,新型コロナウイルス蔓延防止のため,2020年の東京オリンピック・パラリンピックが1年延期になり,2021年も祝日を移動する必要が生じたのですが,それに対応するための法律が成立したのが2021年(令和2年)11月27日,公布が同年12月4日,施行が同年12月28日です。

内容自体が確定(成立)したのが前年の11月27日です。そこから印刷を始めてもちょっと厳しいですよね……。新年のカレンダーって年末の挨拶などの手土産代わりにすることが多いので,12月には完成していることが望ましいです。さすがに小ロットならともかく,11月27日からカレンダーを作成するのは厳しいでしょうね。

このような事情で,祝日移動が対応していない2021年のカレンダーが多く出回っているのです。

東京オリンピック・パラリンピックの1年延期に伴う祝日移動に対応するための改正法

では,その前年の年末ぎりぎりに成立した改正法を見てみましょう。

平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律(令和2年法律第68号)
(公布:令和2年12月4日,施行:令和2年12月28日)

(平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法の一部改正)
第1条 平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法(平成27年法律第33号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
令和3年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法
第1条中「平成32年」を「令和3年」に改める。
第10条中「平成33年3月31日」を「令和4年3月31日」に改める。
第20条第4項、第29条第3項、第30条第3項及び第31条第1項中「平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」を「令和3年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」に改める。
第32条中「平成32年」を「令和2年」に、「)第1条」を「。以下この条において「祝日法」という。)第1条」に,「いう」を「いう。次項において同じ」に,「同法」を「祝日法」に改め,同条に次の1項を加える。
2 令和3年の国民の祝日に関する祝日法の規定の適用については,祝日法第2条海の日の項中「7月の第3月曜日」とあるのは「7月22日」と,同条山の日の項中「8月11日」とあるのは「8月8日」と,同条スポーツの日の項中「10月の第2月曜日」とあるのは「7月23日」とする。

上記の1条2項によって,2021年(令和3年)の祝日が移動されたのですね。

この改正法の1条1項で元号の改正もやってしまっているのですが,これはもっと早くできたのでは……?

年末になって翌年の祝日が移動する法律が通ると,カレンダー制作会社は頭がいたいでしょうね。1年延期は早期に決まっていたので,この改正法ももっと早く対応できたのではないかと思ったりしますが,感染状況や蔓延防止で手がいっぱいだったのでしょうか。