関西スーパーとオーケーストアとの一連の争いについて,大阪高裁の判断が示されました(2021年12月7日)。
逆転裁判!?高裁で逆転――仮処分取消し
神戸地裁はオーケーストア側の申立てを認めて,株式交換の差止めの仮処分を下していたわけですが,大阪高裁は一転して,上記の神戸地裁の判断を覆し,仮処分を取り消しました。
大阪高裁の決定原文を確認できていないのですが,報道されている限りでは,
- 投票ルールの周知が十分とまでは言えなかったといった事情も考慮したようで,そのような状況下で,株主が投票ルールを誤認してしまうことがやむを得ないと認められるような場合は,投票用紙だけでなく,その他の事情も考慮して株主の賛成・反対の意思の内容を確認することも許容される
- 当日の株主の言動などからすると,株主の意思は投票用紙のそれ(白票=反対)とは異なっている(すなわち,株主は賛成の意思であること)が明確であること
- 上記を賛成票と扱うことは,法令違反はなく,また,著しく不公正であるとまでは言えない
といったところのようです。
結果的に,関西スーパー側の投票方法の周知の不備が,関西スーパー側を救ったということになるのでしょうか。ちょっとモヤモヤしますね。毎日新聞の専門家コメントも「皮肉な結果」としていますね。
今後
オーケーストアは大阪高裁に許可抗告の申立てを行ったようです(オーケー株式会社「関西スーパー様の株式交換の差止めの仮処分に係る大阪高裁の判断について」(2021年12月7日プレスリリース))。これが認められると,最高裁の判断が示されることになります。
ここまでくると外野としては最高裁の判断を知りたいところです。また,今後の株主総会の運営方法にも影響が少なからず出てくると思われますので,その点でも最高裁の判断として確定してほしいですね。
関西スーパーは,大阪高裁の判断を受けて,株主総会の決議に瑕疵はなかったとして,株式交換を予定通り実施するとしています(株式会社関西スーパーマーケット「株式交換差止めの仮処分の認可決定に対する保全抗告の申立ての結果 (認可決定取消し・仮処分命令申立て却下)に関するお知らせ(2021年12月7日プレスリリース))。効力発生日は2021年12月15日の予定です。