祝日のない6月が始まってしまいましたね……。
嘆いても仕方がないので,気を取り直して,先月(2022年5月)刊行で気になった書籍をメモしておきます。
学生向け
主にビジネスパーソン向けに書かれたようなのですが,学生向けの教科書ではちょっと難しいという学生には最適な教科書になりそうです。
400ページ越えでちょっと厚いですが,その分,なぜそのようなルールになっているのかを丁寧に沿革(制度の成り立ち)から説明しており,また,文体も「です・ます」調なので普通に読書をする感じで読み進められます。通学中の電車の中で読み進めることもできます(ビジネスパーソン向けなので,通勤中に読みやすいように仕立てられているのかもしれません)。
新型コロナ対策関連の緊急的な融資の返済がそろそろ開始になるようで,それに伴い,倒産件数が増えるのではないかという見方もあるようです。
倒産法は手続法の一種ですので,本格的に学び始める前に,一度大まかな流れを頭に入れておくとつまづきが少なくなると思います。本書は倒産法の勉強前の1冊としておすすめです。
分量も200ページ未満で一気に読み進められるので,全体の流れを把握するという目的にも最適です。
実務向け
交通事故に関する法実務の本と言えば,日弁連が出している青本(『交通事故損害額算定基準』(日弁連交通事故相談センター本部編))と赤い本(『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(日弁連交通事故センター東京支部編))が有名ですが,本書は大阪地裁交通部所属の裁判官の研究会によるものです。
青本・赤い本とあわせて,裁定側である裁判所がどのように考えているのかもチェックしておきたいですね。
一般向け(?)
個人的な趣味です。法学者の半生を振り返る系の本が好きなので。昔テレビでやってた『いつみても波乱万丈』とかついつい見ちゃってましたね。
いい意味での研究者同士のかかわりや人間関係などもうっすらと透けてみえる感じも好きです。意外な他法の研究者から影響を受けていたりとか。
本書は子ども時代も振り返っていたりと一般書としても興味深く読めます。
よく似たタイトルの『ある法学者の軌跡』も面白いですよ。古いので古書店か図書館での閲覧になりますが。川島武宜先生の著作です。
ウクライナ情勢が気になる現在ですが,ついつい手に取ってしまいました。
巻末の資料も豊富で,条約集などを用意しなくても本書一冊で読み進められます。
200ページほどで分量的にはサクッと読めますので,土日や夏休みの読書におすすめの一冊です。