新しい最高裁判事が内定(2021年7月退任判事の後任)

新しい最高裁判事が内定(2021年7月退任判事の後任)法学部
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最高裁判所判事の人数と定年

最高裁判所の判事は,最高裁判所長官も含めて15名です。

15名の根拠条文は,憲法79条裁判所法5条です。憲法はともかく,裁判所法5条はあまり読むこともないと思うので,下記に引用しておきます。

憲法79条
第79条 最高裁判所は,その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し,その長たる裁判官以外の裁判官は,内閣でこれを任命する。
 最高裁判所の裁判官の任命は,その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し,その後10年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し,その後も同様とする。
 前項の場合において,投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは,その裁判官は,罷免される。
 審査に関する事項は,法律でこれを定める。
 最高裁判所の裁判官は,法律の定める年齢に達した時に退官する。
 最高裁判所の裁判官は,すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は,在任中,これを減額することができない。

裁判所法5条 
(裁判官)
第5条 最高裁判所の裁判官は,その長たる裁判官を最高裁判所長官とし,その他の裁判官を最高裁判所判事とする。
 下級裁判所の裁判官は,高等裁判所の長たる裁判官を高等裁判所長官とし,その他の裁判官を判事,判事補及び簡易裁判所判事とする。
 最高裁判所判事の員数は,14人とし,下級裁判所の裁判官の員数は,別に法律でこれを定める。

また,最高裁判所判事にも定年があり,ある年齢に達すると退官になります。

最高裁判所判事の定年は70歳で,根拠法令は,上記の憲法79条5項と裁判所法50条です。

裁判所法50条
 (定年)
第50条 最高裁判所の裁判官は,年齢70年,高等裁判所,地方裁判所又は家庭裁判所の裁判官は,年齢65年,簡易裁判所の裁判官は,年齢70年に達した時に退官する。

退官する最高裁判事と新任の最高裁判事(2021年7月)

この度,2021年7月2日に小池裕最高裁判事が、2021年7月8日に宮崎裕子最高裁判事が定年退官を迎えます。

その後任人事が2021年6月4日の閣議で決定したようです。

後任は,大阪高裁長官の安浪亮介氏と弁護士の渡辺恵理子氏です。

退任する小池裕判事は裁判官出身,宮崎裕子判事は弁護士出身なので,小池判事の後任が安浪亮介氏,宮崎判事の後任が渡辺恵理子氏となりますね。

女性の宮崎判事の後任は,同じく女性の渡辺氏ですので,一定の男女バランスを考慮したのかもしれないですね。

渡辺恵理子氏は経済法・競争法・独占禁止法に強い弁護士のようです。

今回の後任人事発令後も15名の最高裁判事の男女比は,男性13名,女性2名と変化なしです。

ちなみに,宮崎判事は,最高裁判事就任後に衆議院議員選挙がなかったために,在任期間中に一度も国民審査憲法79条2項)を受けることがなかったことになります。この事態は戦後初のようですね。

なお,国民審査で罷免された最高裁判事はまだ一人もいません

アメリカの最高裁判事

アメリカの最高裁判所(連邦最高裁判所)の判事の人数は,首席判事(長官)1名を含めて,9名で構成されます。

日本とは異なり,アメリカの最高裁判所(連邦最高裁判所)の判事には定年がありません終身制です。引退(辞任)するか,死亡するまで,最高裁判事としての身分が保障されます(弾劾裁判による解任を除く。ただし今まで解任された人はいない)。

2019年に,名物裁判官であったギンズバーグ判事を取り上げた映画『RBG 最強の85才』が日本でも公開されました。

ギンズバーグ判事は,弁護士時代に女性の地位向上に取り組み,大きな実績もあげてきた人です。法学部生なら,是非一度は見ておいてほしい映画ですね

また,法学部生でなくても,性差別問題に関心がある方にも是非見ていただきたい映画です。