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名前が変更になった法律――題名改正

名前が変更になった法律題名改正法学部

某府知事の会見内容によって,一時的にうがい液(ポビドンヨード液)が品薄になっているようですね。

マスクが品薄だったときと同じく買い占めや転売もおこっているようです。

ただ,うがい液は第3類医薬品であることがほとんどですから,薬剤師や登録販売者ではない人の無資格販売は法律上規制されています
この根拠法令が「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品に関する運用などを定めた法律」です。

長い名前ですね。

薬機法などと略されることも多いです。
でも「医品、医薬部外品、化粧品、医療器及び再生医療等製品に関する運用などを定めた律」を薬機法と略すの,なんか違和感がありませんか。

じつはこの薬機法,もともと「薬事法」という名前(題名)だったのです。

なので,なじみ深い「薬事法」に近い略称となったんでしょうね(推測ですが)。

ところで,法律の名前が変わることって結構あるのでしょうか?

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名前の変更があった法律――法学部で触れるものを中心に

法律の名前=「題名」と言います。

法律の名前が変更されることを「題名改正」なんて言ったりします。

実際には「題名」だけ改正されることは稀で,ほかの条文の改正とあわせて題名も改正することが多いです。

どんな法律に題名改正があったのでしょうか。

法学部で触れることがありそうな法律やニュースなどで目にする機会の多い法律を中心に一部紹介していきます。

題名改正があった法律を網羅しているわけではないのであしからず。

名前が変更された法律・題名改正があった法律

★がついているものは法律の全部改正があったもの。
その他は一部改正です。
( )内は改正があった年です

太字が現在(2020年8月)の法律の名称(題名)です。

科学技術基本法
 → 科学技術・イノベーション基本法(令和2年〔2020年〕)

金融商品の販売等に関する法律

 → 金融サービスの提供に関する法律(令和2年〔2020年〕)

外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法
 → 外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法(令和2年〔2020年〕)

油濁損害賠償保障法
 → 船舶油濁損害賠償保障法(平成16年〔2004年〕)
 → 船舶油濁等損害賠償保障法(令和元年〔2019年〕)

環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律
 → 環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成30年〔2018年〕)

未成年者喫煙禁止法
 → 二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律(平成30年〔2018年〕)

成年者飲酒禁止法
 → 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(平成30年〔2018年〕)

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律
 → 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国税通則法等の臨時特例に関する法律(平成29年〔2017年〕)

マンションの建替えの円滑化等に関する法律
 → マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成26年〔2014年〕)

母子福祉法
 → 母子及び寡婦福祉法(昭和56年〔1981年〕)
 → 母子及び父子並びに寡婦福祉法(平成26年〔2014年〕)

薬事法
 → 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(平成25年〔2013年〕)

郵便局株式会社法
 → 日本郵便株式会社法(平成24年〔2012年〕)

簡易郵便局法
 → 郵政窓口事務の委託に関する法律(平成14年〔2002年〕)
 → 郵便窓口業務の委託等に関する法律(平成17年〔2005年〕)
 → 簡易郵便局法(平成24年〔2012年〕)

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 → 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(平成24年〔2012年〕)

旧非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)の一部
 → 外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律(平成23年〔2011年〕)
新非訟事件手続法の制定に伴い,旧非訟事件手続法を廃止するのではなく,旧法の一部を題名を変えて残している

スポーツ振興法
 → スポーツ基本法(平成23年〔2011年〕)★

商品取引所法
 → 商品先物取引法(平成21年〔2009年〕)

産業活力再生特別措置法
 → 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(平成21年〔2009年〕)

犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律
 → 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成19年〔2007年〕)

法例
 → 法の適用に関する通則法(平成18年〔2006年〕)★

貸金業の規制等に関する法律
 → 貸金業法(平成18年〔2006年〕)

旧信託法(大正十一年法律第六十二号)の一部
 → 公益信託ニ関スル法律(平成18年〔2006年〕)
新信託法の制定に伴い,旧信託法を廃止するのではなく,旧法の一部を題名を変えて残している

証券取引法
 → 金融商品取引法(平成18年〔2006年〕)

刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律
 → 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成18年〔2006年〕)

短期社債等の振替に関する法律
 → 社債等の振替に関する法律(平成14年〔2002年〕)
 → 社債、株式等の振替に関する法律(平成16年〔2004年〕)

鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律
 → 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年〔2002年〕)★
 → 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成26年〔2014年〕)

労働者災害補償保険法
 → 労働者災害補償保険法(平成12年〔2000年〕)

訪問販売等に関する法律
 → 特定商取引に関する法律(平成12年〔2000年〕)

特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律
 → 資産の流動化に関する法律(平成12年〔2000年〕)

勤労婦人福祉法
 → 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律(昭和60年〔1985〕)
 → 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女性労働者の福祉の増進に関する法律(平成9年〔1997年〕)
 → 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(平成9年〔1997年〕)

外国為替及び外国貿易管理法
 → 外国為替及び外国貿易法(平成9年〔1997年〕)

育児休業等に関する法律
 → 育児休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成7年〔1995年〕)
 → 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成7年〔1995年〕)

精神保健法
 → 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(平成7年〔1995年〕)

商品券取締法
 → 前払式証票の規制等に関する法律(平成元年〔1989年〕)★

中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法
 → 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和61年〔1986年〕)

出入国管理令
 → 出入国管理及び難民認定法(昭和56年〔1981年〕)

農産種苗法
 → 種苗法(昭和53年〔1978年〕)

清掃法
 → 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年〔1970年〕)★

あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法
 → あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法(昭和29年〔1954年〕)
 → あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師、柔道整復師等に関する法律(昭和39年〔1964年〕)
 → あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和45年〔1970年〕)
※柔道整復師については昭和45年(1970年)に「柔道整復師法」が制定された。

まとめ

このようにしてみると,結構たくさんの法律の名前(題名)が改正で変更されています。

法学を学ぶ上で,まず押さえておきたいのは

法例 → 法の適用に関する通則法

です。

古い文献などでは当然「法例」として言及されています。
なにも知らなければ“法令”の誤植かな? と思ってしまうかもしれませんね。
かつて法例という名前(題名)の法律があり,現在は法例の全部改正によって「法の適用に関する通則法」という名前(題名)の法律になっています。
国際私法」という分野で学ぶメインとなる法律です。

また,

証券取引法 → 金融商品取引法

も重要です。金融商品取引法になる前の書籍や論文は,当然,証券取引法として書かれていますからレポートなどで調査漏れが生じないように注意しましょう。

民法の成年年齢が18歳になりましたが,飲酒や喫煙が許されるのは20歳以上のままなので,法律の名前(題名)も未成年者→二十歳未満ノ者となっていますね。

小学校~高校でも触れることのある「雇用機会均等法」ですが,1985年制定,1986年施行と学んだと思いますが,手続的には「勤労婦人福祉法」の改正だったんですね。
そもそも雇用機会均等法の正式名称って長いですね。
平成9年(1997年)の改正で「女子(女性)労働者の福祉の増進」が題名から消えています。どんな内容の改正だったか調べてみて,当時と今とで雇用の何が違うのかを考えると面白いと思いますよ。

簡易郵便局法は,3回も題名改正があったにもかかわらず,結局現在は当初と同じ「簡易郵便局法」に戻ってますね。郵政民営化の流れと一緒に題名改正を見てみるといいかもしれません。

法律の名前(題名)の変遷を眺めるだけでも時代の流れを感じることができますね。

もし,法学,法律の書籍や論文の中で出てくる法律が六法にないときは,題名改正がなかったかを調べてみましょう。