【注意】本記事の道路交通法の条文は2022年4月1日現在のものです。
大学入学後,5月の大型連休を迎えるころには大学生活にも慣れ始めてきた人も多いでしょう。
生活に時間的にも精神的にも余裕が生まれ,大学の講義以外に活動を広げる人も出てくるころかと思います。アルバイトを始めるという方もいるでしょう。
そして,運転免許を取得するために,自動車運転教習所に通い始めたいと考える人もいるのではないでしょうか。
そこで,法学部生らしく道路交通法の条文を確認しつつ,おすすめの免許をお伝えしていきたいと思います。
自動車の種類
道路交通法上,下記の通り自動車(バイク含む)は7種類に分類されています。
道路交通法(昭和35年法律第105号)
(自動車の種類)
第3条 自動車は,内閣府令で定める車体の大きさ及び構造並びに原動機の大きさを基準として,大型自動車,中型自動車,準中型自動車,普通自動車,大型特殊自動車,大型自動二輪車(側車付きのものを含む。以下同じ。),普通自動二輪車(側車付きのものを含む。以下同じ。)及び小型特殊自動車に区分する。
- 大型自動車
- 中型自動車
- 準中型自動車
- 普通自動車
- 大型特殊自動車
- 大型自動二輪車(側車付きのものを含む)※側車付きのもの=サイドカー付きのバイク
- 普通自動二輪車(側車付きのものを含む)※側車付きのもの=サイドカー付きのバイク
免許の種類
道路交通法上,下記の通り運転免許は 第一種免許10種類,第二種免許5種類,仮免許4種類に分類されています。
道路交通法(昭和35年法律第105号)
(運転免許)
第84条 自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は,公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
2 免許は,第一種運転免許(以下「第一種免許」という。),第二種運転免許(以下「第二種免許」という。)及び仮運転免許(以下「仮免許」という。)に区分する。
3 第一種免許を分けて,大型自動車免許(以下「大型免許」という。),中型自動車免許(以下「中型免許」という。),準中型自動車免許(以下「準中型免許」という。),普通自動車免許(以下「普通免許」という。),大型特殊自動車免許(以下「大型特殊免許」という。),大型自動二輪車免許(以下「大型二輪免許」という。),普通自動二輪車免許(以下「普通二輪免許」という。),小型特殊自動車免許(以下「小型特殊免許」という。),原動機付自転車免許(以下「原付免許」という。)及び牽引免許の10種類とする。
4 第二種免許を分けて,大型自動車第二種免許(以下「大型第二種免許」という。),中型自動車第二種免許(以下「中型第二種免許」という。),普通自動車第二種免許(以下「普通第二種免許」という。),大型特殊自動車第二種免許(以下「大型特殊第二種免許」という。)及び牽引第二種免許の5種類とする。
5 仮免許を分けて,大型自動車仮免許(以下「大型仮免許」という。),中型自動車仮免許(以下「中型仮免許」という。),準中型自動車仮免許(以下「準中型仮免許」という。)及び普通自動車仮免許(以下「普通仮免許」という。)の4種類とする。
- 第一種免許
- 大型免許
- 中型免許
- 準中型免許
- 普通免許
- 大型特殊免許
- 大型二輪免許
- 普通二輪免許
- 小型特殊免許
- 原付免許
- 牽引免許
- 第二種免許
- 大型第二種免許
- 中型第二種免許
- 普通第二種免許
- 大型特殊第二種免許
- 牽引第二種免許
- 仮免許
- 大型仮免許
- 中型仮免許
- 準中型仮免許
- 普通仮免許
第二種免許は,旅客車両,つまりお客さんを乗せて走る車両であるバス・タクシー・ハイヤーなどを運転するために必要な免許です。いきなり2種免許取得はできないので,本記事では扱いません。
また,ひとまずクルマの免許,つまりバイク(2輪)ではなく4輪のクルマの免許を取得することを考えている人が比較的多いと思いますので,以下では,4輪に限って言及していきたいと思います。また,特殊車両・牽引免許も除きます。
各免許で運転可能な車両(4輪・第一種)
それぞれの第一種免許(4輪)で運転できる車両も道路交通法85条に定められています。
大型免許 | 大型自動車,中型自動車,準中型自動車,普通自動車,小型特殊自動車,原動機付自転車 |
中型免許 | 中型自動車,準中型自動車,普通自動車,小型特殊自動車,原動機付自転車 |
準中型免許 | 準中型自動車,普通自動車,小型特殊自動車,原動機付自転車 |
普通免許 | 普通自動車,小型特殊自動車,原動機付自転車 |
18歳・免許なしで取得可能な免許は?
上記の4輪の免許のうち,18歳で運転免許未所持の状態から取得できるのは,以下の通りです。
- 普通免許(AT限定)
- 普通免許
- 準中型免許
AT限定?MT?
通常,運転免許取得と聞いて思い浮かべるのが,普通免許(AT限定)か普通免許だと思います。
AT限定は,いわゆるオートマのクルマしか運転できません(運転可能な車両が限定されています)。この限定がない普通免許はオートマに加え,MT(マニュアル)のクルマも運転可能になります。
この区別は,変速機の違いです。AT=オートマチックトランスミッション,MT=マニュアルトランスミッションのことです。
現在,日本国内で販売されている車のうち,約99パーセントはATのようです(日本自動車販売協会連合会・新車登録台数年報(2019年))。
ですので,特にこだわりがなければ,ATで日常生活に支障はありません。
ただ,軽トラックはMTであることが多いので,乗る可能性が高い人はMTでの免許取得をおすすめします。
AT限定の方が若干教習所の費用が安いですが,それほど変わらないので,「大は小を兼ねる」的な精神でMTを取る人もまだまだ多いようです(とはいえ,年々AT限定を選択する人が増えています)。
準中型?
準中型免許は,普通自動車に加えて,すこし大きな車両である準中型自動車が運転可能になります。
2017年(平成29年)からできた新しい区分です(道路交通法の一部を改正する法律〔平成27年法律第40号,平成27年6月17日公布,平成29年3月12日施行)。
現在(2022年4月1日),新たに普通免許を取得した人は,普通免許のみでは,車両総重量3.5トン未満・最大積載量2トン未満・乗車定員10人以下の車両までしか運転できません。
準中型免許では,普通免許で運転可能な車両に加え,車両総重量3.5トン以上7.5トン未満・最大積載量2トン以上4.5トン未満・乗車定員10人以下の車両が運転可能となります。
しかも,18歳のはじめての免許でいきなり取得可能です。
準中型免許で実際にその車種(多くの場合はトラックになると思います)が運転可能か否かは必ず車検証で確認しましょう。自動車メーカーは必ずしも免許区分にそってトラックを作っているわけではないからです。しかも法改正があるとなると,即時に対応するのはメーカー側からすれば難しい面もあるでしょう。
準中型免許でどれくらいの大きさの車両が運転できるのでしょうか?
いわゆる3トントラックはほとんどの場合運転可能になります(〇〇トントラックという場合は,多くの場合は,最大積載量を指します)。3トントラックを検索してみてください。結構でかいトラックを運転できるようになりますね。引越しや宅配便などで使用するような小型トラックに対応可能になっています。(しつこいですが,運転可能か否かは必ず車検証で確認しましょう)
AT限定?MT?準中型?どの免許を取得する?
費用は,普通免許(AT限定)<普通免許(MT)<準中型となります。
とはいえ,普通免許(AT限定)と普通免許(MT)とでは,それほど大きな違いはないです。
普通免許と準中型免許とでは,教習所によって異なりますが,10万円ほど準中型の方が高いことが多いようです(詳しくは各教習所に確認してください)。また,準中型免許を取り扱っていない教習所もあるので,事前にパンフレットやウェブサイトなどで確認しましょう。
取得に必要な授業数も普通免許(AT限定)<普通免許(MT)<準中型です。
ただし,準中型の授業数は普通免許と比べてそれほど大きな違いはありません。普通免許(MT)と比べて技能7コマ,学科1コマ多いだけです。
ですので,費用面がクリアできるのであれば,いきなり準中型免許を取得するという選択肢はアリだと思います。
運送関係に就職する場合にはプラスに働くこともあるかもしれませんね(アルバイトの選択肢も増える可能性がありそうですね)。
もちろん,まず普通免許を取得して,後々必要になった際に準中型免許を追加して取得する,ということも可能です。ただし,その場合は,いきなり準中型よりも,費用・授業数はアップすることになります。詳細は割愛しますが,費用も授業数も,いきなり準中型免許よりも大幅に増えます。
準中型免許は新設された区分なので,大学生の親世代には馴染みがないので,準中型免許を取りたい!といっても「???」となるかもしれませんが,希望する人は詳しい説明が必要になるかもしれませんね。
まとめ
18歳ではじめて4輪の運転免許を取得する場合に,3つの選択肢があります。
とにかく一刻も早く運転したい!安く済ませたい!というような人は普通免許(AT限定),MTの操作に興味がある,軽トラックなどのMTを運転する可能性が高いというような人は普通免許(MT),できるだけ大きな車両を運転できるようになりたい,運送業界に興味がある,費用面もクリア可能,というような人は準中型免許を目指すのがよさそうですね。
運転免許取得後も事故を起こさないようにくれぐれも安全運転を心掛けたいですね。