法学部で金融業界を志望する人におすすめの本5選

教科書・六法
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別の記事で法学部で金融業界を志望する人におすすめの履修科目というものを書きましたが,今回はおすすめの本を紹介したいと思います。

基本的には上記記事のおすすめの履修科目でも教科書を使うと思いますが,本記事ではあまり教科書や一般書などの括りを気にせずに,自習や独習用のおすすめ本を紹介したいと思います。

法学部の金融業界志望の人におすすめの本

まずはこちら!決済の仕組みを知る!

小塚荘一郎=森田果『支払決済法〔第3版〕』(商事法務,2018)

決済手段に着目して関連する法制度を解説する教科書です。

強調されているのがそれぞれの決済手段がどのような機能を持っているのか,という点です。
一貫してその視点から解説されています。

それぞれの決済手段の機能に違いがなければ,一番手間の少ない方法に集約されていきそうですが,どんどん新しい決済手段(支払方法)が出てきますし,従来の方法も消えずに残っているものが多いですよね。
たくさんある決済手段の中から,いずれかの方法を選ぶわけですがどういう基準で選ぶのでしょうか。
この本では「リスク分配」に着目しています。

取り扱う内容としては,電子マネー仮想通貨といった最新の制度から手形や振込といった古典的(?)な制度まで網羅しています

読みやすい本ですし,読み通せるページ数でもあるので,是非手に取ってみてください。

同じ森田先生と小塚先生のお二人で書かれた「不法行為法の目的――『損害填補』は主要な制度目的か」NBL874号(2008)という論文は不法行為法の研究では必読の論文になっています。
興味がある方や民法のゼミに所属している人は読んでみることをおすすめします。

次はこの新書!会社法の歴史から経済の動きを知る

神田秀樹『会社法入門〔新版〕』(岩波新書)(岩波書店,2015)

法学部生にとって,著者の神田秀樹先生の会社法の本というと,緑の本,つまり『会社法〔第23版〕』(法律学講座双書)(2021,弘文堂)の方が馴染みがあるかもしれませんね。

この岩波新書の『会社法入門〔新版〕』の何がおすすめかというと,会社法の改正の流れとその背景を知ることができる点です。

金融業界は会社法の改正には敏感な業界ですし,会社法の改正は経済の動きや経済界からのニーズとは切っても切り離すことはできません。

金融業界を目指すなら,会社法の改正の一連の流れとともに経済の動きを教養として知っておくことは重要なのではないでしょうか。

その観点から本書はイチオシです!

法学部生が会計の基本のキを学ぶならこれ!

田中亘編著『数字でわかる会社法〔第2版〕』(有斐閣,2021)
※2021年4月15日に第2版が刊行予定です。

この本は会社法に出てくる数字に着目して,いくつかのトピックを解説する会社法の副読本です。

会社法の分野では,「法と経済学」あるいは「法の経済分析」といった機能的な分析手法をとることが多くなってきています。

この本はそれを前面に出しつつ,初学者にも法と経済学のエッセンスが伝わるように工夫された本です。

本書の中に「第5章 会社法のための会計入門」という章があります。

もし,金融業界を目指したいと思っている人で,まだ会計を学んだことがまったくないのであれば,この本の第5章から学び始めることをおすすめします。

会社法の規定をベースに,会計の基本のキから丁寧に,かつ,コンパクトに解説しているので,おすすめです!
この章の執筆者の小出篤先生は東大の学部を卒業後に銀行に勤めてから東大の大学院に戻ってきているようですね(researchmap情報)。

戦後最大の経済事件!

國重惇史『住友銀行秘史』(講談社,2016)
(リンク先:Amazon)

著者は元住友銀行取締役です。

さらに,戦後最大の経済事件「イトマン事件」の内部告発を行った本人だそうです。

中身を書くとネタバレになるので,詳細は実際に読んでいただきたいですが,現在よりも「闇社会」がいかに身近に存在していたのかを知るには最適の1冊ではないでしょうか。

こうした闇社会とのつながりは銀行以外にの企業にもありましたが,金融業界を目指すならば,教養としてイトマン事件を知っておいた方がよいのではないかと思い,ここに挙げました。

暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の成立は平成3年,施行が平成4年。
暴対法ができてから約30年経ち,「闇社会」はかなり一般社会から遠くなり,学生の皆さんにとってはイメージがしにくい存在だと思います。

この本を読んで,「闇社会」と企業の関係,距離感を知ると,会社法の株主への利益供与関係の判例の理解が進むと思いますよ。

ドラマの大人気のベストセラーのこのシリーズ!!

池井戸潤・半沢直樹シリーズ
(リンク先:Amazon)

これは説明不要かもしれませんね。

ドラマも大人気!
小説版でもドラマ版でもどちらでもいいと思います。

きっと現役の金融業界に勤める人も読んでいる,見ている人も多いと思います。

小説としておもしろいですし,読んでいると世代を超えた共通の話題にもできますよね。

ご存知の人も多いと思いますが,著者の池井戸潤さんは元銀行マン(三菱銀行)です。

法学部で金融業界を志望する人におすすめの本の一覧