法学部生のなかには,就職先として一般企業の法務部を志望する人も少なくないと思います。
でも,法務部ってどんな仕事,業務内容なのかイメージが湧きますか?
あまりよく知らないという人も多いでしょう。それでも就職先として志望する人がいるのは,法学部で学んだ知識等を直接的に活かせそうだという印象が強いからだと思います。
法務部への就職は法学部が有利?法学部以外でも法務部に就職できるの?
法学部出身が有利かどうか,という点ですが,各企業の方針次第ではありますが,やや有利であることは間違いないと思います。もちろん,法学部以外の就活生でも法務部で活躍している人もいますから,法学部以外でも簡単にあきらめる必要はないと思います。ただし,やはり大学4年間,法学を学んできた人と同じ土俵に立つわけですから,就職活動に向けてより入念な準備が必要になると思います。
そうした就職活動の準備のためにも,本記事を参考にしていただければ幸いです。
法務部の仕事の内容をざっくりと
法務部の仕事の内容は多岐にわたります。
また,企業内部で,法務部と総務部や人事部が独立して別部署として存在するか否かもその仕事内容に大きくかかわります。
独立していない場合は,総務部的な仕事も,人事部的な仕事もすることになります。一例として,労務関係のお仕事を想像してもらえばよいと思います。
法務部が独立している場合,代表的な仕事内容としては,契約関係のチェック,株主総会関係の対応,知財管理,紛争対応などが挙げられます。その会社の本業の内容によって,法務部の仕事内容もさまざまです。
法務部が独立している会社は,比較的大きな会社が多く,中小企業の多くは法務部は独立しておらず,総務部や人事部がその役割を担っていることが多いです。
法務部の仕事を知る本(入門書)
法務部の仕事内容を紹介している本で,比較的とっつきやすい本を紹介します。
『知識ゼロからのビジネス法務』
まずは広く浅く知ることが重要です。そうした観点からいえば,この本はとてもよい内容になっています。出版社の紹介文にもありますが,専門用語をできるだけ使わない方針で書かれていますので,初心者にはうってつけの1冊です。
弘兼憲史さんは島耕作シリーズでおなじみですね。法律事務所が監修で入っていますので,内容的にも安心です(とはいえ,刊行後の法改正には対応していないので,そのあたりは注意して読みましょう)。
『社長、本当にぼくが法務ですか?―マンガで身につく企業法務(労務・組織)入門』
次はマンガ仕立ての本です。手っ取り早く法務部の仕事内容を知るにはよいと思います。
法務部志望でなくとも,働くうえでよくあるトラブルが題材に取り上げられていますので,一読しておいて損はない1冊です。
『金融法務がマンガでラクラクわかる本―楽しく読めて知識が身につく』
こちらもマンガです。
四コマ漫画,クイズ形式ととっつきやすく,あっという間に読める内容となっています。
金融関係に焦点が当たっていますので,その点は注意が必要ですが,金融関係の法務を志望する人にはおすすめです。
池井戸潤さんは,半沢直樹シリーズで有名ですよね。
ちなみに,金融業界を志望する人は下記の記事もあります。
法務部の仕事を知る本(中級編)
『100分でわかる企業法務 取締役のための会社法ノート』
こちらは「取締役のための」と副題がついていますが,法務部志望の就活生にとっても有益な内容です。
法務部の重要な職務として,役員に法的な問題やリスクを客観的に説明するということがあります。そういった観点からも本書はとても有益です。役員の職務は多岐にわたっており,法務以外の多くの問題について常に経営判断を迫られます。そんな時間のない役員が法的に誤った判断やリスクを認識せずに判断を下してしまうことが生じないように,法務部が法的な問題について下調べをし,アドバイスをするのです。
『企業法務入門テキスト――ありのままの法務』
本気で法務部を目指すなら,一読をおすすめします。
著者の経営法友会は,企業法務担当者で組織される企業法務に関する情報交換を目的とした組織です。詳しくは公式ウェブサイトで確認してください。
この本はかなりリアリティが高い内容となっており,仮に法的な問題についての解説をすべて理解できなかったとしても,現場でなにが起こっているのかを知ることができます。
法務部志望として,面接の場で的外れな発言をしないためにも,目を通しておくことをおすすめしたい1冊です。
法務部志望と資格取得
法務部を志望するうえで,必須の資格というものはあまりないかと思いますが,国際的な企業であれば,英文契約を扱う件数も多いので,TOEICの一定水準以上のスコアを求められることもあるかもしれません。
また,ビジネス法務検定や行政書士などの資格を取っておくと自分の法的な知識水準のアピールになると思います。
新卒採用で,法務部を狙い撃ちで就職活動するのは,狭き門ではありますが,是非とも頑張ってみてください。
転職市場では,法務部経験者は結構たくさん求人が出ていますので,一定の法務スキルを獲得できていれば,くいっぱぐれる可能性は他の職種よりは低いといえるかもしれませんね。