新年度が始まって,1か月ほど経ちましたね。
とくに法学部1年生は,履修登録や慣れない講義などで疲れが出てきている頃かもしれませんね。
今年は,昨年に引き続きコロナ禍ということもあって,ステイホームで連休を過ごすという人も多いと思います。
読書をして過ごす人もいると思います。
今回は,法学部生に向けて,GW・連休中の読書におすすめの1冊を紹介します。
とくに法学部の新入生におすすめです。
法学部の新入生なら,専門科目として,憲法を履修している人もいると思います。
1か月ほど受講してみてどうでしたか?
憲法なら小学校から高校まででも習ったことがあるので,余裕だろうと思っていませんでしたか?
でもどうでしたか?
「思ってたんと違う」
高校までの憲法の内容と,かなーりかけ離れていませんでしたか?
もちろん高校までの内容と重なるところも多いと思いますが,とくに冒頭の総論あたりは歴史的なことも多くて,よくわからないという感想を持ったと思います。
憲法って,西洋の思想史がバックグラウンドにあったりして,それがなんの説明もなしに語られることが多いんですよね。それが憲法の最初の1か月の講義で挫折する人をたくさん生み出す主な原因だと思っています。
そこで,本記事では,その憲法の講義の冒頭部分のわかりにくさを解消する1冊を紹介したいと思います。
中山竜一・浅野有紀・松島裕一・近藤圭介/著『法思想史』(2019年,有斐閣)〔有斐閣アルマシリーズ〕
有斐閣アルマシリーズの『法思想史』です。
有斐閣の教科書のシリーズ(レーベル?)はいくつかあるのですが,新しいシリーズとしてストゥディアシリーズがあります。
ストゥディアシリーズのおすすめは過去の記事でもいくつか取り上げました。
それに対してアルマシリーズは,ストゥディアシリーズよりも前に刊行していたシリーズです。
もう新刊は出ないかと思っていましたが,2019年に本書『法思想史』が刊行されました。
アルマシリーズは,ストゥディアシリーズと違って,少し小さめのサイズの本です。文庫よりは少し大きいですが,コンパクトです(有斐閣のHPをみると,四六判というサイズのようです)。
本書は,ギリシャからはじまり,現代の法思想の流れを一通り説明する教科書です。
教科書ですが,取り上げられる思想家を取り巻く当時の社会状況なども丁寧に紹介しており,また,各項目(思想家)をぶつ切りで説明するのではなく,それぞれがつながりをもった一連のストーリーとして解説されます。
ギリシャから現代までのつながりを感じながら,物語や伝記を読むような感じで読み進めることができます。
ここで語られる法思想史の流れが憲法のバックグラウンドにもつながります。
この1冊を読んでおけば,連休明けからの講義の理解度も高まると思いますよ!
(さらに本書で語られる思想家について,憲法だけでなく,ほかの法律科目の講義でも当たり前のように名前が出てくることがあるので,読んでおいて損はないと思います〔教養として知っているはず,と思っている教員も多いので,急に講義中に思想家の名前が出てくることがあります……〕)