本件について,2021年11月18日に最高裁の判断が示されました。
結論としては抗告棄却,東京機械製作所側の勝ち――すなわち臨時株主総会の決議は有効で買収防衛策の発動は認められるということになりました。
とはいえ,上記前回の記事でも書きましたが,買収防衛策の発動(新株予約権の無償割当て)は「一旦留保」されていますので,当初,効力発生日された2021年11月19日に割当ては実行されません。
判断したのは最高裁の第三小法廷(林道晴裁判長)だったようですね。
東京高裁決定,最高裁決定ともに原文をまだ見ていないので,報道されている範囲でしかわかりませんが,おおむね東京機械製作所側の主張が通ったのでしょうか。(ちなみに,東京地裁決定の原文は商事法務ポータルにアップされました〔プレミアム会員限定〕(2021年11月19日))
一般論で大きな意義を持ちそうなのは,やはりマジョリティ・オブ・マイノリティによる株主総会決議の有効性でしょうね。ただし,ひろく一般的に当該決議が是認されたかどうかは,慎重な検討が必要でしょうし,決定原文の精査,今後の判例評釈を待ちたいと思います。
読売新聞の記事では,さまざまな事項・状況を「総合して判断されるべき」との司法判断であったと報道されていましたので,裁判所としても無制限に認めるという趣旨ではなさそうです(現時点でのただの素人の個人的感想ですが)。
ちなみに東京機械製作所の株価は,終値ベースで,2021年11月17日:1,648円,11月18日:1,563円,11月19日:1,416円と最高裁判断の前後で大幅に下落しています。いろんな思惑買いが入っていたのが司法判断の確定によって売りに転じたのでしょうね。思惑で買い,事実で売る,のセオリー通り……?
今後のアジア開発キャピタル側の動きが気になりますね。
正攻法でTOBを仕掛けるという手も残されているような気がしますが,さてどうなるでしょうか。