戦前の国葬令の条文など(メモ)

雑記
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なにかと話題の国葬。ちょっと調べてみたのでメモ。

戦後に国葬を行ったのは,下記の方々。

  • 貞明皇后(大正天皇の皇后)
  • 吉田茂
  • 昭和天皇

ここに安倍元総理が連なる予定。

貞明皇后は「事実上の国葬」として行われたそうです。
皇室典範には「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。」との規定がありますが,それ以外の皇族については規定がありません。現在は,天皇以外の葬儀儀式は国家儀式ではなく皇室主催の葬儀儀式とすることが原則です。
戦前であれば貞明皇后は国葬となるはずでしたが,戦後の新憲法の施行・国葬令の廃止・皇室典範の施行により正式に国葬(大喪の礼)を行う法的な根拠を欠いていました。
当時はGHQ支配下でしたし国葬とするか否かはあいまいにしたまま「事実上の国葬」とされたようです(戦後間もない当時の国民意識の面からも国葬とすることにあまり抵抗がなかったということもあったのかもしれません)。

皇室典範(昭和22年法律第3号)

第25条 天皇が崩じたときは,大喪の礼を行う。

せっかくなので,戦前の国葬令の条文も調べてみました。公布時の官報は国会図書館のデジタルコレクションで閲覧可能です。

国葬令(大正15年勅令第324号)

第1條 大喪儀ハ國喪トス
第2條 皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃及攝政タル親王内親王王女王ノ喪儀ハ國葬トス但シ皇太子皇太孫7歳未満ノ殤ナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第3條 國家ニ偉勳アル者薨去又ハ死亡シタルトキハ特旨ニ依リ國葬ヲ賜フコトアルヘシ前項ノ特旨ハ勅書ヲ以テシ内閣總理大臣之ヲ公告ス
第4條 皇族ニ非サル者國葬ノ場合ニ於テハ喪儀ヲ行フ当日廢朝シ國民喪ヲ服ス
第5條 皇族ニ非サル者國葬ノ場合ニ於テハ喪儀ノ式ハ内閣總理大臣勅裁ヲ経テ之ヲ定ム

国葬令は「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」によって,効力を失いました(1947年〔昭和22年〕12月31日)。

昭和22年法律第72号日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律

第1条 日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定で,法律を以て規定すべき事項を規定するものは,昭和22年12月31日まで,法律と同一の効力を有するものとする。

戦後の総理経験者については,内閣と所属政党の合同葬儀とすることが比較的多いようです。記憶に新しい中曽根康弘元総理のときもこの形式でしたね。

吉田茂元総理のときは国葬にしましたが,日本武道館で宗教色を排した形式で行ったようです。国葬当日(1967年(昭和42年)10月31日)は火曜日でしたが,官庁や学校は半休となりました。この当時も野党側からは憲法上の疑義が出されていたようです。

今回予定されている国葬についても賛否が入り乱れている印象です。

どのような形式になるのか注目していきたいと思います。