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刑法判例百選(第8版)刊行!第7版との違いは?

刑法判例百選(第8版)刊行!旧版(第7版)との違いは?書籍・六法

先日,判例百選について下記の記事を書きました。

関連して,この度,2020年11月26日刑法判例百選Ⅰ(第8版)』『刑法判例百選Ⅱ(第8版)が刊行されました

出版社のホームページにも情報は出ているのですが,判例の詳細までは出ていないようです。

私も第8版を購入したので,第7版との違いを中心に紹介していきたいと思います。

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刑法判例百選(第8版)の概要

編者・発売日

編者:佐伯仁志 (中央大学教授)・橋爪隆 (東京大学教授)

発売日:2020年11月26日

第7版(旧版)との比較
第7版の編者は山口厚先生と佐伯仁志先生でした。山口先生が抜けて,橋爪先生が入ったことになります。現在,山口先生は最高裁判所判事ですね。
第7版は2014年07月の刊行でしたから,今回6年4か月ぶりの改訂ですね。

収録判例件数

Ⅰ(総論):107件

Ⅱ(各論):124件

第7版(旧版)との比較
第7版(旧版)はⅠが106件,Ⅱが126件でした。第8版ではⅠは1件増Ⅱは2件減ですね。

刑法判例百選(第8版)の新規追加判例

Ⅰ(総論)の新規追加判例

新規に10件の判例が追加されました

刑法判例百選Ⅰ(総論)(第8版)の新規判例一覧
Ⅵ 正当防衛
 23 侵害の急迫性(最二小決平成29年4月26日) 〔橋爪隆〕
Ⅶ 緊急避難
 31 強要された緊急避難(東京高判平成24年12月18日) 〔松宮孝明〕
 33 過剰避難の成否(大阪高判平成10年6月24日) 〔井上宜裕〕
Ⅹ 過失
 57 注意義務の存否・内容(4)(最二小決平成29年6月12日) 〔北川佳世子〕
ⅩⅠ 未遂
 63 詐欺罪における実行の着手(最一小判平成30年3月22日) 〔塩見淳〕
ⅩⅡ 共犯
 79 過失の共同正犯(最三小決平成28年7月12日) 〔嶋矢貴之〕
 82 承継的共同正犯(2)(最三小決平成29年12月11日) 〔豊田兼彦〕
 83 教唆の意義(最三小決平成18年11月21日) 〔佐川友佳子〕
 84 幇助の意義(最三小決平成25年4月15日) 〔西貝吉晃〕
ⅩⅢ 罪数
 101 包括一罪か併合罪か(1)(最一小決平成26年3月17日) 〔宮川基〕

Ⅱ(各論)の新規追加判例

新規に12件の判例が追加されました

刑法判例百選Ⅱ(各論)(第8版)の新規判例一覧
Ⅰ 個人的法益に対する罪
1 生命・身体に対する罪

 6 同時傷害の特例(最三小決平成28年3月24日) 〔玄守道〕
 9 保護責任者遺棄罪における「不保護」の意義(最二小判平成30年3月19日) 〔遠藤聡太〕
2 人格的法益に対する罪
 14 強制わいせつ罪における性的意図(最大判平成29年11月29日) 〔和田俊憲〕
3 財産に対する罪
(3) 強盗罪

 41 2項強盗における財産上の利益(3)(東京高判平成21年11月16日) 〔田山聡美〕
 44 強盗致死傷罪における強盗の機会(東京高判平成23年1月25日) 〔西岡正樹〕
(4) 詐欺罪
 51 詐欺罪と財産上の損害(4)(最二小判平成26年3月28日) 〔伊藤渉〕
 60 電子計算機使用詐欺罪(3)(東京高判平成24年10月30日) 〔宮川基〕
Ⅱ 社会的法益に対する罪
3 風俗に対する罪

 101 わいせつ電磁的記録送信頒布罪の成否(最三小決平成26年11月25日) 〔永井善之〕
 102 死体遺棄罪の成否(大阪地判平成25年3月22日) 〔森川恭剛〕
Ⅲ 国家的法益に対する罪
1 汚職罪

 103 賄賂罪の客体(最一小決平成24年10月15日) 〔山本雅昭〕
3 司法作用に対する罪
 119 参考人の虚偽供述と証拠偽造罪(最一小決平成28年3月31日) 〔亀井源太郎〕
 123 参考人の虚偽供述と犯人隠匿罪の成否(最二小決平成29年3月27日) 〔仲道祐樹〕

刑法判例百選(第8版)で未収録となった判例

刑法判例百選(第7版)では収録されていた判例で,第8版では未収録となった判例もあります

Ⅰ(総論)で未収録となった判例

第7版(旧版)で収録されていた判例のうち9件が第8版では未収録になりました。

Ⅰ(総論)で未収録となった判例の一覧
※番号は第7版(旧版)の判例番号。
 23 侵害の急迫性(最一小決昭和52年7月21日)
 31 避難行為の相当性(東京高判昭和57年11月29日)
 33 誤想過剰避難(大阪簡判昭和60年12月11日)
 55 注意義務の存否・内容(2)(東京地判平成13年3月28日)
 61 期待可能性(最一小判昭和33年7月10日)
 79 結果的加重犯の共同正犯(最三小判昭和26年3月27日)
 80 過失の共同正犯(東京地判平成4年1月23日)
 97 共犯と中止犯(最二小判昭和24年12月17日)
 100 包括一罪か併合罪か(1)(最二小決昭和62年2月23日)

Ⅱ(各論)で未収録となった判例

第7版(旧版)で収録されていた判例のうち14件が第8版では未収録になりました。

Ⅱ(各論)で未収録となった判例の一覧
※番号は第7版(旧版)の判例番号。
 2 自殺関与罪と殺人罪の限界(福岡高宮崎支判平成元年3月24日)
 7 危険運転致死傷(最二小決平成18年3月14日)
 14 強制わいせつ罪における主観的要素(最一小判昭和45年1月29日)
 43 事後強盗罪の予備(最二小決昭和54年11月19日)
 44 逃走中の暴行と強盗致死傷(最二小判昭和24年5月28日)
 58 コンピュータ詐欺(2)(東京地判平成7年2月13日)
 95 顔写真の使用と人格の同一性(最一小決平成11年12月20日)
 101 わいせつ物の意義(最三小決平成13年7月16日)
 102 販売の目的の意義(最三小決平成18年5月16日)
 103 賄賂罪の客体(最二小決昭和63年7月18日)
 115 公務執行妨害罪における「暴行」の程度(最三小判昭和33年9月30日)
 116 仮処分の公示札の有効性(最一小決昭和62年9月30日)
 117 強制執行妨害罪と債務名義の存在(最二小決昭和35年6月24日)
 122 参考人の虚偽供述と証拠偽造罪(千葉地判平成7年6月2日)

刑法判例百選(第8版)の情報まとめ

刑法判例百選(第8版)を旧版(第7版)との比較を中心にしながら紹介してきました。

すでに旧版(第7版)を使って勉強している人は,追加になった判例を中心に知識等をアップデートするとともに,未収録になった判例についても確認しておくとよいでしょう。

単純に収録件数との関係で未収録となったのか,上級審の判例が出たため差し替えられたのか判例変更等があったため差し替えがあったのか,などを新しい版が刊行されたこのタイミングで確認しておくとよいかもしれないですね。

本記事で紹介した本