東野圭吾『ラプラスの魔女』の前日譚。構成としては短編集。
前日譚と知らずに『魔女の胎動』から読んでしまった。
カバーのあらすじや帯をしっかり見ていれば読む順番を間違えることはなかったと思いますが,うっかりこちらから読んでしまいました。
結果としては,『ラプラスの魔女』を読んでいなくても特に問題なく読み進めることができました。これから『ラプラスの魔女』を読み始めます。
『魔女の胎動』で印象に残ったところ。
世論やバッシング,炎上を「津波」と表現する箇所があります。
人の意識の集合体はもはや自然災害に近いものであるとしています。一人一人の個人の意見や考えなどは教育や議論などである程度コントロールしたり変えたりすることができますが,集合体になったとたん,誰にも制御できなくなり,ときに人に牙をむく凶器や災害になる,ということです。
一度,暴力性を持った世論やバッシング,炎上は,過ぎ去ったあとに何も残らないという点でも津波なのかなと感じました。
本書の単行本の刊行年は2018年。
そこから3年近くたっていますが,「津波」は年々大きくなり,頻発するようになっていますね。
人類はいつかこの「津波」をコントロールできるようになるのでしょうか。