六法は買った方がいいの? 毎年買い替えるの?

教科書・六法
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六法は毎年新しいものが刊行されます。最新情報は出版社のホームページなどでご確認ください!

※以下では,たとえば『六法全書』のような法令集のことを単に「六法」と呼びます。

法学部に入学してまず悩むのが

  • 六法は買った方がいいの?
  • 六法って毎年買い替えるの?
  • 六法どれを買えばいいの?

という六法の購入に関する問題。

そもそも六法ってなに?

「六法」という言葉には大きく2つの意味があります。

  • 法令集
  • 基本的な6つの法

大学のガイダンスや最初の専門科目の講義の際に,担当教員から「六法は必ず持ってくるように」とか「六法は必ず購入してください」とかアナウンスがあると思います。

ここでいう「六法」は,法律をいくつか収録した書籍,つまり法令集のことを指します。

もう一つの「基本的な6つの法」については,本記事末尾で簡単に紹介します。

六法は買った方がいいの?

結論から言いますと

ぜひ購入してください。

六法は法学部生のシンボルです。

ただし,六法にもいくつか種類があります。
(六法の種類については,下記記事で紹介しています)

詳しいことは別の記事を読んでいただければと思いますが,法学部生に最低限必要な六法は小型六法というもので,かつ,通常はそれで十分です。
(2000円前後のものです)

おすすめは『ポケット六法』か『デイリー六法』です。


このどちらかを買っておけば,ほとんどの場合は問題ないです。
この2冊については,別記事でも紹介します。

六法って毎年買い替えるの?

六法は基本的には年版のものがほとんどです。
(毎年,最新版が発売される)。
上記でおすすめしている小型六法は例年秋に最新版が刊行されます。

毎年買い替える必要はあるのでしょうか。

買い替えをおすすめします

毎年買うとなるとコストもかかりますが,経済的に許されるのであれば,最新の六法で勉強することをおすすめします。

実際,法改正というのは,学生の皆さんが思っているよりも頻繁に行われています。その年の履修科目によっては,古い六法でも対応できることもあるかもしれませんが,思わぬ改正で足をすくわれる可能性もゼロではないので気を付けてくださいね。

大きな改正があった場合には,六法の帯に「○○法改正対応!」とでかでかと書かれていますが,それだけで判断しては思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。

たとえば,平成29年に民法の大幅な改正がありました。
(債権法改正と呼ばれています)
もし,改正前に民法の単位をすべて取得済みなら,民法の改正は関係ないし買い替える必要はないと思う人もいるかもしれません。
しかし,この平成29年民法改正(債権法改正)に伴って,「整備法」という形で,商法など多くの法律が改正されています。
民法のような基本的な法律は,ほかの法律にも関連が深く,民法だけを改正すると関連する法律の側で矛盾や不都合などが生じることがあるので,「整備法」という形でついでに改正することがよくあります。

このように,毎年,細々と法律は改正されていますので,できるだけ六法は毎年買い替える方が無難です。

どうしても買い替えることに躊躇を覚える場合は,履修中の担当教員に過年度版の六法でも問題ないか,確認してみるといいかもしれないですね。

自分が裁判官になったと思ってみてください。
刑法の法定刑が改正されていたのに知らずに判決を書いてしまったら?
民事でも,時効(一定期間が経過すること権利を取得したり,権利が消滅したりすること)がありますが,その期間に改正があったにもかかわらず,旧法のままで判決を書いてしまったら?
六法を買い替えないと,試験でもこのような判決(答案)を書いてしまうかもしれませんね。

六法どれを買えばいいの?

基本的には上記のとおり,勉強用としてはポケット六法デイリー六法を買っておけば間違いないと思います。

もっともひとくちに六法といっても,いくつかの種類もあるので,別記事にそのあたりをまとめました。

ポケット六法とデイリー六法のどっちを買えばよいのか,なども書いていますので,もし興味があれば読んでみてください。

基本的な6つの法って?

さいごに,六法のもう一つの意味,基本的な6つの法について簡単にご紹介します。

基本的な6つの法とは,

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法
  • 商法
  • 民事訴訟法
  • 刑事訴訟法

のことです。

司法試験の勉強している先輩などは,憲法,民法,刑法を「上三法」(うえさんぽう),商法,民事訴訟法,刑事訴訟法を「下三法」(したさんぽう)と呼ぶこともあるかもしれませんね。
これは,旧司法試験では,憲法,民法,刑法は短答式試験(プラス論文式試験)があり,ほかの三法は論文式試験のみだったので,勉強の比重が大きく異なることから,憲法,民法,刑法とそれ以外を区別するためにそのように呼ばれていた,と推測しますが,実際の由来はよくわかりません。
下三法+行政法で下四法ということもあります。

ごく簡単に各法を概観すると,以下の通りです。
(かなり大雑把な説明ですので,あくまで参考までに)

憲法

憲法は高校までにも学んだことがあると思います。
国のあり方を定めたものです。
憲法は法律ではないので,「6つの法律」ではなく「6つの法」としています。

民法

私人間の関係を規律する一般法(基本となる法律)です。
ごくごく大雑把にいえば,私人間とは,国と国とか国と市民とかではなく,一般の市民と一般の市民の間という意味です。
ですので,民法は,英語ではCivil LawとかCivil Codeとか言われます。

刑法

これは耳馴染みのある法律かもしれませんね。
犯罪について定めた法律で,どんなことをすると犯罪になり,どれくらいの刑罰が科されるかを定めています。

商法

商売に関する取引や会社のことについて定めています。会社も私人なので民法の適用がありますが,商法に規定がある事項については,商法が優先します(特別法は一般法に優先します)。
以前は,会社に関する規律や保険に関する規律も商法に含まれていましたが,現在は,「会社法」「保険法」として独立した法律になっています。
※六法の中の「商法」という場合は,会社法や保険法も含めることが多いです(広い意味での商法)。

民事訴訟法

民事事件に関する裁判の手続について定めた法律です。
民事裁判とは,大雑把にいえば,私人間の争いです。
たとえば,以下のようなものです。

  • 歩行中に交通事故に巻き込まれてケガをしたので,車の運転手に治療費を請求したい
  • ある品物を売った相手から代金が支払われないので,相手に代金を請求したい

このような争いで裁判を起こす場合,どのような手続で裁判を進めるのかを定めています。

刑事訴訟法

犯罪の捜査や裁判手続について定めた法律です。
逮捕や取り調べ,裁判(公判)はこの法律に従って進められます。

おまけ

ちなみに,ドラマや映画でよく見かけるでっかい『六法全書』はこちらです。